cafe VALENCIA hayama

葉山の隠れ家的カフェ「バレンシア」自家製シフォンケーキをお召し上がりください

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雨女


六日、金星太陽面通過。
朝から大粒の雨、どんより肌寒い。
昨夜から構えた気持ちが萎える。
次は105年あと、もう見ることはない。


オープンを待つように、パステルブルーの傘がたたずむ。
無情の雨を連れ、マドンナは来た。
恨み言を収め、迎える。
パステルブルーを傘立てに収め、顔を真っ正面向ける。
グレーのスーツ、サーモンピンクのブラウス、差し色が華やかに映えた。
少し固い表情を、サーモンピンクが和らげる。
そう、マドンナは大事な用向きで来た。
テーブルにつき、書類を広げる。
冷めたコーヒーを入れ換え、やっと仕事を離れ話し出す。
明るく光る笑顔が、若く眩しい。
肩の荷を降ろして、空腹を覚えたよう。
ランチを進め、支度する。
ビーチエフエムは、相変わらず緩い曲を流している。
マドンナは、静寂と新緑を体に吸い込んでいる。
雨が上がって、後ろ髪を引かれた様子で席を立つ。
見送る後姿に、熱い日差しがいっぱいに当たっていた。
雨上がり、紫陽花のようなマドンナ。
素敵に華やかな惑い、金星太陽面通過を忘れた。
慌てて日食グラスをかざす。
煤色の中に、小さな太陽だけが見えた。
6時間のショーも、瞬きの間に潰えた。
紫陽花が、陽にキラキラ光っている。
雨女は紫陽花に姿を変え、大都会へ戻って行った。

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